病院と検査センターでは臨床検査技師の仕事内容はどう違う?現役技師が比較!
記事内に広告を含みます。
臨床検査技師を目指していて就職活動を控えている学生さん、就職先で悩んでいませんか?
臨床検査技師の就職先というと、病院や検査センター、保健所、健診センター、製薬会社、医療機器メーカーなどがありますが、やはり臨床検査技師といえば病院の中で血液検査や心電図検査などを行っているイメージがあると思います。実際に日本臨床検査技師会の調査によると、病院で働く臨床検査技師は全体のおよそ70%を占めています。
病院以外の就職先で多いのが検査センターです。そのため病院か検査センターで迷っている学生さんもいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、
「病院と検査センター、どちらに就職しようかな…」
「病院と検査センターってどう違うの?」
という学生さんに向けて、病院と検査センターの違いをご紹介します。
病院と検査センターの仕事内容
病院
病院での臨床検査技師の仕事は、外来に来た患者さんや入院している患者さんの検査です。
外来や病棟、救急外来などから検査部に検体が送られてくるので、それを迅速かつ正確に検査する必要があります。また心電図やエコー、脳波などの生理検査も行います。
詳しい検査の内容については、こちらの記事でご紹介しています。
検査センター
たとえば医師が1人と看護師が数人で診療を行っているクリニックなどでは、血液検査などを行うための機器や臨床検査技師を配置していないところがほとんどです。
そうしたクリニックなどで、たとえば血液検査の数値が知りたいといった場合、クリニックで患者さんの採血をして、検体を検査センターへ渡します。検査センターでは受け取った検体の検査を行い、結果をクリニックへ伝えます。
また病院内に検査部門がある場合は、ほとんどの検査を病院内で臨床検査技師が行っています。しかしそのような病院でも、件数が少ない検査や特殊な検査などは、病院内で検査設備を整えるのがコスト面などで難しいため、こうした検査も検査センターへ委託されます。
このように、医療機関から検体を受け取って代わりに検査を行うのが、検査センターの仕事です。
病院と検査センターの違いは?
多職種とのかかわりがある
病院では医師や看護師、薬剤師、診療放射線技師、管理栄養士など、さまざまな医療職が働いています。
そのため医師から検査の問い合わせがあったり、さまざまな職種が集まってカンファレンスを行ったりなど、ほかの医療職と関わることが多いです。
また病院では、さまざまな医療職が協力しながら患者さんの治療にあたる「チーム医療」という体制がとられています。
一方で検査センターで働いているのはほとんどが臨床検査技師のため、ほかの医療職との関わりは少ないです。
患者さんとのかかわり(生理検査や採血など)がある
病院の規模や検査部の体制にもよりますが、多くの病院では臨床検査技師が心電図やエコー検査、脳波、聴力検査などの生理検査を行っています。
生理検査は患者さんに直接機器を装着して行う検査ですから、患者さんとかかわる機会が多いです。検査室に来た患者さんを検査するだけでなく、移動が難しい入院患者さんの病室まで行き、ベットサイドで検査することもありますよ。
またほとんどの病院では、臨床検査技師も採血を行っています。
毎日決まった人だけが採血だけをやっているわけではなく、検査部の中で当番制になっており、当番の人が外来の採血室に行って採血する、というところが多いと思います。
救急外来や入院患者さんの採血、インフルエンザや新型コロナウイルスの抗原検査の検体採取などは看護師さんが行っているケースが多いですが、中にはこれらも臨床検査技師が担当している病院もあるそうです。
一方、検査センターで行っているのは検体検査のみです。採血や検体採取も医療機関が行うので、検査センターでは患者さんと接する機会はありません。
逆に検査センターでは数多くの病院から集まってきた大量の検体を検査しますから、扱う検体数は病院とはケタ違いです。そのため病院よりもたくさん検体検査の経験を積むことができます。
当直がある
病院の規模などにもよりますが、入院患者さんがいたり救急車を受け入れていたりする病院では、夜間や休日でも緊急で検査を行う必要があるため、臨床検査技師が勤務しています。
病院勤務の臨床検査技師の場合、夜間の勤務は夜勤ではなく当直であることがほとんどです。当直の場合、朝出勤して普通に日勤を働き、そのまま翌日の日勤が始まるまで当直をやります。
当直について詳しくはこちらの記事にも書きましたが、朝から夕方まで普通に働いているのに、夕ごはんや睡眠の時間もロクに取れないまま朝まで働きっぱなし…なんてことも珍しくありません。
一方で検査センターの場合、こちらもセンターの規模などにもよりますが、夜勤であることが多いです。夜勤は日勤帯(朝から夕方までの通常の勤務)は休みで、日勤が終わるころになったら出勤、翌日の日勤が始まったら帰宅する、というものです。
病院の診療時間が終わるころに検査センターのかたが検体を回収に来るので、検査センターには病院からの検体が夕方から夜にかけて大量に届きます。これを検査しないといけないので、むしろ夜勤のほうが忙しいかもしれません。
また当直の場合、緊急の検査がなければ食事や仮眠など自由に過ごすことができます(当直は正確には勤務時間にカウントされないので…)。一方で夜勤は勤務時間のため、基本的には仕事をすることになります。
ですが当直と違って日勤帯は休みですし、夜勤手当も出ます。ただし当直は月に1〜3回程度のところが多いのに対して、夜勤は頻度が高いところが多いです。
どちらにしてもキツいものがありますね…。
自分が検査した患者さんの経過がわかる
病院では患者さんのカルテを見ることができるので、自分が検査した患者さんがどのような病気と診断され、どのような治療が行われたのかを確認することができます。それによって検査の知識だけでなく、病気や治療、薬剤などに関する知識も深まります。
ものすごく検査結果が悪かった患者さんが、だんだん数値がよくなってきて退院したときは、自分が治療したわけじゃないですけど嬉しいですね。
しかし良くなっていく患者さんもいる一方で、検査結果がどんどん悪くなっていくとか、当直中に救急外来で心電図を検査していたら、ほかの患者さんの死亡確認をしていた…など、患者さんが亡くなる場面に遭遇することもあります。
検査センターでは、「どのような病気が疑われて、なぜこの検査を依頼したのか」については医療機関から検査センターに伝えられることはありますが、検査をした患者さんがその後どうなったのかを確認することは基本的にできません。
検査以外の業務がある
病院で働いていると、検査以外の業務がちょこちょこあります。
たとえば病院では、輸血療法委員会や院内感染対策委員会、業務環境改善委員会など、さまざまな委員会があります。
これらは先ほどお話ししたチーム医療にもかかわっていますが、委員会に参加したり資料作りをしたり議事録を書いたりといった業務もあるのが、病院の特徴ですね。
おわりに
病院と検査センターの違いについてご紹介しました。病院も検査センターも、それぞれ仕事内容に特徴があるのがわかっていただけたかと思います。
これから就職先を決める学生さんは、自分がやりたいことや向いていることをよく考えて、自分に合った就職先をみつけてくださいね。