採血で内出血するのはなぜ?原因と内出血を防ぐ方法

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採血後に内出血する原因と対処法

健康診断や体調不良で病院を受診したときに採血をしたら、内出血になったという経験があるかたも多いと思います。

大きな青あざができてしまうと痛々しいですし、特に夏は半袖を着ると見えてしまうので困ることも。

そこで血液検査や採血を担当する臨床検査技師が、採血で内出血になる原因や、内出血しにくくなる方法、内出血したときの対処法についてお話しします。

内出血とは?

出血というと、指を切ってしまったとか、転んで擦りむいたとか、鼻血が出たといったことをイメージすると思います。このような血液が見える出血を「外出血(がいしゅっけつ)」といいます。

反対に、内出血とはその名前のとおり「からだの内側で出血すること」です。血管の壁が破れたけれど、からだの外には血が出ていない状態です。

内出血には脳出血や、交通事故による外傷や動脈瘤破裂などが原因で起こる腹腔内出血、そして皮下出血などがあります。

皮膚は外側から表皮、真皮、皮下組織という3つの層になっていて、この皮下組織にある血管が破れた状態が皮下出血です。

採血が原因でできる内出血(青あざ)は、皮下出血によるものです。採血で針を刺したところから血液が漏れて、皮下組織で出血することで起こります。

内出血の原因は?

血管が見えづらい

血管が見えづらい

血管が見えづらい人は、針が血管にうまく刺さらないことが多いです。また針を刺したとたんに血管が見えなくなってしまうこともあります。

看護師さんや臨床検査技師はこれを「血管が逃げる」と言っています。

すると一度針が刺さって穴が開いたところから出血してしまい、内出血になります。

採血する側の技量

採血中に針をしっかり固定しておかなかったり、刺したあとに針を動かしたりすると、針がずれて血管に穴があいてしまいます。するとそこから血液が漏れ出し、内出血になります。

止血が不十分

採血が終わると、絆創膏みたいなテープを貼られて、しっかり押さえてくださいと言われると思います。これは圧迫止血といって、針を刺したところからの出血をしっかり押さえることで止めるために行われます。

ところが出血がしっかり止まっていないうちに押さえるのをやめてしまうと、血液が漏れ出て内出血になります。

ちなみにあのテープは、採血後1時間くらいしてしっかり血が止まっていれば、はがしてOKです。貼りっぱなしも衛生的によくありませんから、受診が終わったくらいにははがすようにしましょう。

血液をサラサラにするお薬を飲んでいる

血液をサラサラにする薬

ワーファリン、プラザキサ、リクシアナ、エリキュースなどのお薬は、血液をサラサラにする効果があります。これらのお薬は、血液が血管の中で固まり(血栓)、脳や心臓などの血管がつまって脳梗塞や心筋梗塞などになるのを防ぐために使われます。

血液をサラサラにするお薬を飲んでいるかたは、血液が固まりにくくなっています。そのため長めに圧迫止血を行わないと、血が止まらずに内出血を起こしてしまいます。

内出血を防ぐためには?

採血で失敗されにくくする

採血

血管が見えづらくて採血しづらいと、やはり内出血しやすくなってしまいます。

とはいえ見えやすい血管になれと言われても無茶な話ですよね…。私も血管が見えづらくて、採血されるときはよく内出血になるので…。

こちらの記事では、採血で失敗されにくくなる方法についてご紹介しています。採血で失敗されがちなかたは参考にしてみてくださいね。

しっかり止血する

採血後は針を刺したところをしっかり押さえて、圧迫止血を行いましょう。

時間は5分程度、血液をサラサラにするお薬を飲んでいるかたは10分程度を目安にしてください。パッと見で血が止まっているからといって圧迫をやめてしまうと、再び出血するおそれがあります。

圧迫止血のポイントは、針を刺したところ(腕)に対して垂直に、しっかり目に押さえることです。採血が終わって針を抜いた直後って、けっこう強めに押さえられますよね。あんな感じです。ちょっと手を添える程度では内出血になる可能性があります。

私が仕事で採血していると、押さえてくださいと言われた直後に手を離して荷物を持つかたが意外と多いです。血が止まったと思ってすぐに圧迫をやめたために、再出血して服や床に血がついてしまったと採血室に戻ってくるかたもたまにいらっしゃいます。

止血はけっこう大事ですよ!

針を刺したところを揉まない

採血後、まだ十分に止血していない状態で針を刺したところを揉んでしまうと、血液が漏れやすくなり内出血の原因になってしまいます。採血後は揉まずに圧迫止血をしてください。

ちなみに採血後に揉んだほうがいいと誤解しているかたが多いのは、注射とごっちゃになっているからだと思われます。

抗菌薬を筋肉注射する場合は、刺したところにしこりができるのを防ぐために揉む必要があります。ですが現在、抗菌薬は点滴や飲み薬が主流で、注射することはほとんどありません。

またそのほかの注射や予防接種なども、以前は揉んだほうが効果が高くなると考えられていました。しかし現在では揉むと内出血などのリスクが高くなるうえに効果も変わらないため、揉まないほうがいいとされています。

重いものを持たない

腕に力を入れない

腕に力が入るとそのぶん血液量も増えるので、血液が漏れやすくなってしまいます。

採血後1〜2時間は、採血した腕で重いものを持ったり、激しい運動をしたりなど、腕に負荷をかけることは避けるようにしてください。

内出血になったときはどうする?

内出血になっても、特に治療は必要ありません。漏れ出た血液は自然に吸収されていき、7〜10日程度で治ります。

見た目もはじめは痛々しい青色をしていますが、時間がたつと緑色、黄色に変わっていき、やがて消えていきます。

内出血後すぐは、腕を曲げたり内出血の部分を押したりすると痛みを感じることもありますが、こちらも時間の経過とともによくなっていきます。

痛みがあるときや早く治したい場合、採血後1〜2日はタオルでくるんだ保冷剤や、ビニール袋に入れた氷水などで冷やすと、痛みや出血を抑えることができます。ただし冷やしすぎは、血行が悪くなって逆に治りを悪くしてしまうのでご注意ください。

採血後1〜2日たったら、今度は蒸しタオルなどで温めます。温めることで血行がよくなるので、治りが早くなります。冷やしすぎや温めすぎによる低温やけどなどにはご注意ください。

もし痛みが強くなったり、しびれが残ったりすることがあれば、病院に相談してください。

おわりに

採血で内出血になる原因や、内出血になったときの対処法についてご紹介しました。

採血後に内出血になってしまうかたは少なくありません。ベテランのスタッフが採血しても、内出血が避けられないこともあります。

採血する側として、内出血になってしまうのは本当に申し訳ないです…。こちらも内出血にならないように体制を整えていきますので、採血を受けられるかたも止血をしっかり行ってくださいね。

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