健康診断や病院で検査を受けるときはどんな服装がいいの?検査に適した服、避けてほしい服を解説!
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健康診断や病院を受診して検査を受けるときに「どんな服装で行けばいいのかな?」とお悩みのかたはいませんか?
検査内容によって適した服装は異なりますし、検査施設によっては検査着の用意がないこともあります。
「いざ健診や病院に行ってみたら、検査着の用意がなくて支度に手間取ってしまった…」
「脱いだり着たりしやすい服で、のような説明をされても、ざっくりすぎて具体的にどんな服がいいのか結局わからない…」
なんてことにならないように、病院で心電図やエコー検査を担当する臨床検査技師が、仕事をしていて思う「検査のときに避けてほしい服装」についてご紹介します。
検査の前に食事をしてもいいのかどうかについては、こちらの記事も参考にしてみてくださいね。
検査着の用意があるか、どのような服装が適しているかについては、病院や健診施設によって異なります。事前に病院や健診施設にご確認ください。
検査着は用意してもらえる?
病院で行う人間ドックの場合、専用の検査着やロッカールームが用意されており、最初に検査着に着替えてからそれぞれの検査を順番にまわる、というパターンが多いです。
しかし市区町村や会社、学校などの健康診断で、健診バスが来たり公民館などの場所を借りたりして行うような場合は、検査着や着替えのスペースが用意されていないことが一般的です。
また体調不良などで病院を受診した際の検査については、病院や検査内容によります。
必ず検査着を借りられるわけではないので、健康診断や病院を受診するときは、検査しやすい服装のほうが安心ですね。
検査のときに避けてほしい服装
トップス
上下が一体になっている服(ワンピース、サロペットなど)
診察時の聴診や、心電図や腹部エコー、心エコーなどの検査のときは、患者さんにおなかや胸を出していただきます。
そのためワンピースだと服をまくり上げたときに下半身が見えてしまいますし、サロペットでは胸やおなかが出しづらいです。
以前心臓のエコー検査に着物を着てきたおばあちゃんがいましたね…。
首もとが詰まった服(タートルネックなど)
頸動脈エコーや甲状腺エコーの検査では、患者さんの首や鎖骨のあたりにプローブ(エコー検査のときにからだにあてる機械)をあてて検査します。
そのためタートルネックのように首もとが詰まった服だと、プローブがあてづらくて検査がやりづらくなってしまいます。検査しづらいときは脱いでいただくことも。
またエコー検査のときにはエコーゼリーというゼリーのようなものをからだにつけるのですが、タートルネックだと服にエコーゼリーがついてしまいます。
ぴったりした服(スポーツウェアなど)
スポーツをしているかたがよく着ている、上の写真のような長袖のスポーツウェアなどのぴったりした服は、採血のときにまくりづらいです。
この記事でも書きましたが、採血は肘の内側にある血管から行うことが多いので、二の腕くらいまでがサッと出せる服だと採血する側もやりやすいです。
厚手の服(ニットなど)
厚手の服もびったりした服と同じく、採血のときにまくるのが大変です。
また血圧は、薄手であれば長袖の上から血圧計を巻いて測ることもできますが、ニットなどの厚手の服では服の上から測ることもできませんし、二の腕より上のほうまでまくるのも難しいので、脱いでいただくこともあります。
プリントや飾り、ボタンなどのついた服
レントゲン検査では、検査する部位にX線を照射して、透過したものを画像にしています。たとえば空気を含む肺はX線が透過しやすいので黒く写り、骨など硬いものは透過しづらいため白く写ります。
そのためプリントTシャツやスパンコール、ラメ、刺繍、ボタン、ファスナーなどがついた服は、胸のレントゲンを撮ると白く写り込んでしまうことがあります。するとボタンなどの影と病気の影が重なって病気を見落としてしまったり、写っている影が病気なのか服の飾りなのか判断が難しくなったりしてしまいます。
ボトムス
ぴったりしたパンツ(ジーンズなど)
心電図検査では胸だけではなく、両手首と両足首にも電極(センサーのようなもの)をつけるため、患者さんには袖や裾をまくっていただきます。そのためジーンズなどのぴったりしたパンツだと足首が出しづらいです。
またおなかのエコーで腎臓や膀胱、消化管を検査するときは、おなかのけっこう下のほう(腰骨のあたり)までプローブをあてます。パンツがぴったりしていると下ろしづらいので、検査をするときにちょっと大変ですね。
ロングスカート・タイトスカート
スカートは心電図検査のときに足首も出しやすいですし、婦人科の内診や子宮頸がん検診などで内診台に乗るときも下着だけを脱げばOKなので検査を受けやすいです。
ですがくるぶしくらいまであるようなロングスカートだと、靴を脱いだりベッドへ寝たり内診台に乗ったりといった動作のときにスカートの裾がじゃまになってしまうことも。またぴったりしたタイトスカートでは内診台に乗りづらいです。
スカートならひざ丈くらいで、タイトでないものがおすすめです。
ストッキング・タイツ
ストッキングやタイツも、ジーンズなどと同じく心電図検査のときに足首が出しづらいです。
ストッキングでも靴下のようにふくらはぎくらいまでのものならちょっと下ろせば足首を出すことができますが、パンストタイプだと脱いでいただく必要があります。
さらにスカート+パンストならパンストを脱ぐだけで済みますが、パンツスタイル+パンストだといったん下を全部脱いでいただかないといけません…。
下着
ボディスーツ(補正下着)
ボディスーツも、心電図やエコー検査で胸やおなかを出すときにサッとまくることができません。またほかの服よりもぴったりしているぶん、脱いだり着たりにも時間がかかります。
心電図は検査自体は1〜2分で終わるのですが、ボディスーツのかただと検査よりも服の脱ぎ着に圧倒的に時間がかかるので…。
機能性肌着(ヒートテックなど)
ヒートテックなどの機能性肌着にはアクリルやレーヨンなどの素材が使われています。レーヨンは高い吸湿性を持ち、肌から放出される水蒸気を吸着し、その際に吸着熱を発生させます。高い保湿性を持つアクリルがその吸着熱を閉じ込めることで、温かく着られるというしくみです。
ヒートテックなどの機能性肌着は、MRI検査を受けるときに注意が必要です。MRIは核磁気共鳴画像法(Magnetic Resonance Imaging)の略で、からだに磁力や電磁波をあててからだの中を撮影する検査です。
MRIを撮影するときは、磁場エネルギーによって体温が上がります。するとからだは体温を調節しようとするため、肌から放出される水蒸気も多くなります。
機能性肌着はこの水蒸気を吸収してしまいます。それにより湿った衣類を着ていると、磁場エネルギーによって誘導電流が流れやすくなってやけどをしてしまうおそれがあります。そのためMRI検査を受けるときは、ヒートテックなどの機能性肌着は脱ぐように案内されることが多いです。
ブラジャー・ブラトップ
心電図や心臓のエコー検査では、胸に電極をつけたりプローブをあてたりするので、ブラジャーは脱いでいただくか、ずらして胸を出していただく必要があります。
ブラジャーのホックやワイヤーなどに使用されている金属やプラスチックが、レントゲンを撮影したときに影となって映り込んでしまうことがあるため、レントゲン検査のときにはブラジャーは外すように案内されることが多いです。
またMRI検査では金属がNGです。電磁波をあてると金属は発熱するため、金属を身につけているとやけどをする可能性ががあります。また金属は画像が乱れる原因(アーチファクトといいます)にもなりますし、MRIの機械に金属が勢いよく引き寄せられるおそれもあり、非常に危険です。
それなら金属が使われていないブラトップならOKかというと、ブラトップもNGというところも少なくありません。
ブラトップにもプラスチック製のアジャスターが使われていたり、カップの厚みがレントゲン撮影や診察時の聴診の妨げになったりすることがあるためです。
靴
脱ぎづらい靴(ブーツなど)
心電図やエコー、脳波検査などはベッドに寝た状態で検査するため、靴を脱いでいただきます。
健康診断では複数の検査を受けますし、病院を受診した場合でも、診察のときに診察台に寝て、心電図で寝て、エコーで寝て…という感じで、けっこう靴を脱ぎ履きする機会が多いです。
そのためブーツなどの脱ぎづらい靴だと、何度も脱いでは履いてをくり返すので大変ですよ。
メイク・アクセサリー
メイク
医師は診察のときに患者さんの顔色もチェックしているそうです。そのためあまりバッチリメイクすぎると、本来の顔色がわかりづらくなってしまいます。
また胃カメラを受けるときには、口または鼻からカメラを入れるため、鼻から口にかけてのメイク(特に口紅)がくずれやすくなります。
先ほどMRI検査では金属がNGというお話をしましたが、実はアイシャドウやマスカラなどの化粧品には、酸化鉄や酸化チタンなどの金属が含まれているものもあります。そのためこれらの化粧品をつけたままMRI検査を受けると、化粧品に含まれる金属が発熱してやけどしてしまうおそれがあります。
タトゥーのインクにも金属が使われている可能性があるため、タトゥーがあるかたは基本的にMRI検査を受けられません。
マニキュア・ジェルネイル
コロナ禍で一躍有名になったパルスオキシメーター。これは酸素飽和度(サチュレーション)を測定する機械です。
酸素飽和度は「赤血球がどれくらい酸素と結びついているか」を示す数値です。赤血球は血液中に含まれる細胞で、体中に酸素を運ぶ役割があります。この赤血球がどれくらい酸素と結びついているか、つまりどのくらい酸素をからだに取り込めているかを測ることで、患者さんの呼吸の状態がわかります。
酸素飽和度はパルスオキシメーターを指に挟んで測ります。パルスオキシメーターのセンサーが爪を通して血液の色を見て酸素飽和度を測定しているため、マニキュアやジェルネイルなどをしていると正確な測定ができないおそれがあります。
アクセサリー(ピアス、ネックレス、指輪など)
聴力検査ではヘッドホンをつけて検査するため、ピアスやイヤリングなどは外すように案内されることがあります。
またネックレスは、甲状腺エコーや頸動脈エコー検査のときにプローブにあたってプローブが傷ついたり、エコーゼリーがネックレスについたりしてしまうおそれがあるため外していただきます。
こちらも金属が使われているものもあるため、レントゲンやMRI検査はNGです。
こういったアクセサリーは、「外したらどこかへなくしてしまった…」ということもありえますから、つけてこないほうが安心だと思います。
整髪料・ヘアピン
脳波検査のときは、頭に電極(センサーのようなもの)をたくさんつけます。そのため髪を結んでいるかたにはほどいていただき、ヘアピンなども外していただきます。ヘアピンはMRI検査でもNGですね。
脳波検査の電極は、おでこから頭のてっぺん、両耳、後頭部まで頭全体に、髪をかき分けて頭の地肌につけるので、ワックスなどの整髪料を使われていると電極がつけづらくなってしまいます。
また白髪や薄毛をカモフラージュするためのスプレータイプの製品にも金属が含まれているものがあるため、MRI検査はNGです。
検査に適した服装とは?
トップスはゆったりした無地の半袖Tシャツがベスト
トップスは半袖で、首もとがあいたTシャツがベストです。ゆったりしていて、プリントやボタンなどの飾りがないものが◎。聴診や心電図、エコー検査のときもサッとまくって胸やおなかを出しやすいですし、採血や血圧測定もそのままできます。
ですが冬に半袖ではかぜをひいてしまいますし、夏でも冷房が苦手というかたも多いと思います。そんなときはゆったりしていて袖がまくりやすい薄手の長袖にしたり、半袖の上にサッと脱げるカーディガンなどをはおったりするのがおすすめです。
ボトムスもゆったりしていてウエストがゴムのものを
ボトムスも動きやすく、足首が出しやすいゆったりしたものがベストです。またエコー検査やレントゲン、MRIの撮影に影響しないように、金属やプラスチックが使われているベルトは避け、ウエストがゴムのものがおすすめです。
パンツ、スカートどちらでも大丈夫ですが、先ほどお話ししたようにロングスカートは避けたほうが無難です。
ストッキングやタイツは避け、足首が出しやすい靴下にしていただけると検査がスムーズにできます。靴も脱ぎ履きがしやすいスニーカーや、ストラップのないパンプスがおすすめです。
下着については確認を
ブラジャーやブラトップは、心電図やエコー、レントゲン、MRI検査などで外すように案内されることが多いです。そのためブラジャーやブラトップをつけないのが一番スムーズではあるのですが、それはちょっと…というかたも多いと思います。
ブラトップは病院や健診施設によってOKのところもあるので、まずは確認してみてください。判断に迷う場合は、ご自身で外しやすいほうを着ていくといいですよ。
メイクは最低限で
先ほどお話ししたように、化粧品には金属が含まれているものがあり、MRIなどでは検査に影響をおよぼす可能性があります。
アイシャドウやマスカラのほかにも、口紅やファンデーション、制汗スプレー、カラーコンタクトなどにも金属が含まれているものがあります。
そのため基本的にはノーメイクが望ましいです。ノーメイクはちょっと…というかたは、ご自身が受ける検査にメイクが影響するものがあるか確認したり、バッチリメイクではなく薄化粧にしたり、念のためにクレンジングなどを持っていったりするといいですよ。
マニキュアやジェルネイルなどは落としておき、ピアスやネックレスなどもつけないのがベストです。
ヘアピンや整髪料などの使用も避けたほうがいいですが、髪が長いかたはレントゲン検査などのときにじゃまにならないようにサッと結べるように、飾りのないヘアゴムを用意しておくのがおすすめです。
おわりに
検査のときに避けてほしい服装についてご紹介しました。
病院や健診施設によっては、検査着の用意や十分な着替えのスペースがないことも珍しくありません。
検査しやすい服なら「着替える場所がなくて手間取ってしまった…」ということもありません。またスムーズに検査が進めばそれだけスタッフの負担も減りますし、患者さんの待ち時間の短縮にもつながります。
服装をちょっと気にしていただくだけで、みんながちょっとずつハッピーになりますね。