臨床検査技師になるには理系に進むべき?文系でもなれる?文理選択のポイント
記事内に広告を含みます。
多くの高校では、1年生の後半に文系か理系、どちらのコースに進むかを決める文理選択があります。
2年生からは選んだコースにわかれてクラスも別になり、授業を受けられる科目も違ってくるので、将来の進路も考えた上で選択しなければなりません。
「将来の職業として臨床検査技師に興味があるけど、理系科目が苦手で文理選択に悩んでいる」というかたはいませんか?
この記事では、そんな高校生にむけて
「臨床検査技師になるにはやっぱり理系じゃないとダメ?無理をしてでも理系に進むべき?」
「文系でも、理系科目が苦手でも臨床検査技師になれる?」
といった疑問にお答えします。
臨床検査技師は文系でもなれる?
結論から言いますと、文系でも臨床検査技師になれます。
臨床検査技師になるには、高校を卒業後に専門のコースがある専門学校や医療技術短期大学、4年制大学で学ぶ必要があります。これらの学校に入学するには、入学試験を受けて合格しなければなりません。
入学試験の受験科目や内容は学校によって異なります。しっかり理系科目を勉強していなければ合格が難しいような学校もあれば、理系科目がそれほど必要ではなく、文系でも受験可能な学校もあります。
文系でも受験できる学校を選べば、臨床検査技師になることができます。ですが臨床検査技師を目指すなら、文系に進むのはあまりおすすめしません。その理由を解説します。
文系をおすすめしない理由
進路の選択肢が狭まる
臨床検査技師の養成コースがある学校には、専門学校や国立大学、私立大学などがありますが、文系に進むと国立大学への進学はかなり困難になります。
国立大学の場合、入学試験は共通テストと二次試験にわかれています。
私が高校生のときはセンター試験でしたね…。
共通テストでは5教科7科目の試験を受ける必要があります。5教科7科目とは、国語、英語、数学ⅠA、数学ⅡB、社会(世界史、日本史、地理、政治経済などから1つ選択)、理科(生物、化学、物理から2つ選択)です。
多くの高校では、文系に進むと共通テストで必要な数学ⅡBや理科の授業が受けられません。二次試験でも数学や理科の問題が出題されることが多いので、合格はかなり厳しいでしょう。
一方で私立大学や専門学校は、それぞれの学校で独自の入学試験を行います。そのため学校によっては試験に数学や理科があまり必要ではないところもあります。
ですが私立大学でも数学ⅡBなどが必要になる学校もありますし、大学によっては「受験するには高校で数学ⅡBや生物、化学、物理を履修していること」などの出願条件があるところもあります。その場合は受験することすらできません。
「行きたい学校があったけど、文系に進んだために受験できなかった」というのは悲しいですよね。
その点理系に進めばほとんどの学校に対応できます。
入学後の勉強が大変
高校で文系に進み、入学試験に数学や理科があまり必要ではない私立大学や専門学校へ進学したとします。
ですが臨床検査技師になるための勉強は、ほぼ理系科目です。ひとのからだのしくみや病気のメカニズム、検査の原理や方法などを学ぶわけですからね。
臨床検査技師の勉強を高校生のうちにやる必要はありませんし、一応数学や生物、化学、物理といった理系科目の基礎から勉強が始まる大学、専門学校が多いです。
私の出身大学でもこれらの基礎科目から始まりましたし、理系出身だけど高校で物理は習っていないという同級生もいました。
それに臨床検査技師の国家試験は、理系の応用問題というよりは暗記科目が多いのでなんとかならないこともないのですが、高校で理系科目を避けた人にとってはかなり大変だと思います。同級生は理系出身者がほとんどでしょうし。
理系に進んで数学や生物、化学、物理の基礎知識をつけておけば、入学後の勉強もスムーズに始められると思います。
文転より理転のほうが難しい
文系に進み、やはりどうしても理系に進みなおしたいとなった場合、理系に進路を変えることができます(理転といいます)。
ですが理転はかなり大変です。今まで文系だった人が、理系の授業についていき、理系の学校へ進学するのには、かなりの努力が必要になるでしょう。「あとで理転すればいいや」なんて軽い気持ちではできないことだと思ってください。
一方で理系だった人が文系に進路を変えること(文転)は、理転に比べてやりやすいと言われています。
生物、化学、物理…どれを選択するべき?
高校の理科には生物、化学、物理があります(地学もありますが、医療系の入学試験では選択できないことが多いのでここでは触れません)。
高校によってすべて履修するところもありますが、この中から選択する場合もあります。選択する場合はどれを選んだらいいのか悩みますよね。
臨床検査技師になるための勉強は、生物の内容が多いです。
私も高校時代は生物を選択しました。個人的な意見ですが、この中で理系科目が苦手な人が一番とっつきやすいのが生物だと思います。
高校の生物では病気のメカニズムや検査については学びませんが、細胞分裂や遺伝、からだの構造などの知識は大学に入ってからも役立ちました。
化学は、からだの中で起こる代謝や酵素の反応などを学ぶときに必要になります。物質量(mol)を求める計算などもありますね。
臨床検査技師は医療機器を扱うため、回路の電圧や抵抗などが国家試験に出てきます。またエコー(超音波)検査では、波長や周波数といった知識も必要です。これらは物理の範囲ですが、物理は生物や化学と比べると、進学してから使う機会があまりないかなという印象です。
臨床検査技師を目指すなら、理系科目のおすすめは生物>化学>物理の順ですね。
数学や英語はどの程度必要?
受験に関して言えば、国立大学を受験するなら数学ⅡBまで必要です。難関大学では数学ⅢCまで受験科目になっているところも。英語も国立大学ではリスニングまで必要です。
私立大学や専門学校は学校によるところが大きいです。
入学後は、学校によっては理科と同様に数学や英語の基礎的な講義がある場合もあります。このほかに統計学で数学が必要になることも。
国家試験では数学はほぼ必要ありません。計算問題は出題されますが、高校の数学で勉強した関数やベクトル、確率などではなく、単純に計算ができれば解ける問題です。
臨床検査技師になってから、学会発表や論文執筆などをバリバリやる人は、英語の論文を読んだり海外の学会に参加したりすることがあるかもしれません。そうでなければ英語はほぼ使わないかなと。
ちなみに私は大学時代、必修ではなかったのですが第二外国語(英語以外の外国語)でドイツ語を勉強してみました。もうほとんど忘れてしまいましたが…。
理系科目が苦手でも大丈夫?
「臨床検査技師を目指したいけど、理系科目が苦手だから理系に進んで大丈夫かな…」と悩んでいるかたもいると思います。
実は私も今でこそ臨床検査技師として働いていますが、高校時代は理系科目が大の苦手でした。
というかぶっちゃけ今でも苦手です。
特に数学が壊滅的で…。模試で200点満点中8点をとったこともあります。そのため私が理系に進むと言い出したときは担任の先生から「本当に理系で大丈夫?」とまで言われましたが、それでも医療系の仕事に就きたいと思い、理系に進みました。
理系に進んでからは正直大変でした。数学大嫌いなのに数ⅢCまでやるハメになりましたからね。結局理系科目が苦手なのは変わらず、クラスの平均点が70点くらいの数学のテストで20点とかとってました。
よく進級できたものだ…。
とりあえず国語や英語、社会はぼちぼちだったので、そっちで点数を稼いでどうにか大学に合格しました。その後もかろうじて留年することなく卒業し、国家試験も奇跡的に突破しています。
理系科目が苦手でも、理系に進んでしまえば意外となんとかなるものです。理系の受験でも国語や英語が必要な学校も多いですから、文系科目が得意ならそれが強みにもなりますし。
「理系科目が苦手だから」と選択肢を狭めず、自分で納得のいく進路をみつけてくださいね。