【検診の尿検査】なぜ朝イチの尿なの?食事はOK?自宅で採尿、こんなときどうする?

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自宅で尿検査こんなときどうする?

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人間ドックや職場の健康診断、ほかにもお子さんの学校検診などで、尿検査を受ける機会があると思います。

尿検査は自宅で採取して病院や学校に持っていくことが多いので、「こんなときはどうしたらいいの?」と疑問に思っても、なかなか聞けなくて困っていませんか?

そこでみなさんが提出した尿を検査している臨床検査技師が、尿検査のギモンにお答えします。

そもそも尿検査で何がわかるの?

尿検査

尿検査ではおもに、尿に糖分(ブドウ糖)やタンパク質、血液が混じっていないかなどを調べます。

重症の糖尿病になると尿に糖が検出されますし、腎臓のはたらきが低下していると、腎臓で処理されるはずのタンパク質が尿から排出されます。また腎臓や膀胱、尿管に結石やがん、炎症などがあれば尿に血液が混じります。

健康診断ではあまり行われませんが、尿沈渣という検査もあります。尿を遠心分離器で遠心すると、尿に含まれる赤血球や白血球、細菌、結晶などが沈殿するので、それを顕微鏡で観察して、数や形を調べます。

腎臓は老廃物を尿として排泄するだけでなく、血圧の調整などにもかかわる大切な臓器です。

腎臓はダメージを受けると再生する力がありません。腎臓のはたらきが低下すると、透析が必要になることもあります。

ですが腎臓は普段は予備力を残した状態ではたらいているため、尿検査で腎臓に余力があるうちに病気を早期発見することが重要です。

尿検査の目的や結果の見方について、詳しくはこちらの記事もどうぞ。

なぜ朝起きて最初の尿を検査するの?

朝

健康診断の尿検査では、朝起きて最初の尿を提出するように言われることが多いです。

夜寝ているあいだは水分をとりませんし、トイレにも行かないので、腎臓から排泄される成分が尿に溜まっていきます。そのため朝起きて最初の尿は濃縮されていて成分が安定しているので、検査に適しているのです。

このほかに、尿タンパクを正しく検査するためでもあります。

立っていたり運動したりすると、尿からタンパク質が検出されることがあります(起立性蛋白尿といいます)。これは生理現象であり病気ではありませんが、この影響をできるだけ取り除くため、寝ているあいだにつくられた尿を採取します。

特に子どもは起立性蛋白尿が出やすいため、学校検診では朝起きて最初の尿を採取するように指示されることが多いです。

また検査前に激しい運動をした場合も、起立性蛋白尿が出る可能性があるのでご注意ください。

まちがえて尿をとらずに出してしまった…

朝起きて最初の尿をとるように言われているのに、うっかりトイレに出してしまった、という場合、可能なら別の日にあらためて検査をするのが望ましいですが、2回目の尿で検査を行うこともあります。

2回目以降の尿では、先ほどお話した起立性蛋白尿の影響を受ける可能性があります。

日程を変更するのか、2回目以降の尿で検査するのかは、病院や検診によるので確認してください。確認がとれず日程変更が難しい場合は2回目の尿をとって持参し、その旨を伝えるのがいいでしょう。

なぜ出しはじめの尿を捨てるの?

尿道や陰部は、常在菌(健康な人のからだに住んでいる細菌)がいたり、排泄物で汚れたりして、細菌がつきやすい場所です。

そのため出しはじめの尿には細菌や分泌物(おりものや精液など)が混じっており、これらが検査に影響をおよぼすことがあります。

中間の尿なら出しはじめの尿で尿道が洗い流されているため、細菌や分泌物の混入が防げます。

膀胱炎などでは本来は菌がいないはずの膀胱で細菌が増えてしまうため、尿から細菌が検出されますが、その場合は中間の尿からも細菌が検出できます。

ちなみに検査目的によっては出しはじめの尿を採取する場合もありますが、健康診断では中間尿を採取することがほとんどです。

食事は普通に食べて大丈夫?

朝食

尿検査には食事の制限がないことが多く、基本的には食事はいつもどおり食べても大丈夫です。

ですが肉や魚、ケーキなどの甘いお菓子、炭酸飲料、お酒などを食べすぎたり飲みすぎたりすると、尿糖や尿タンパクに影響が出ることがあるのでご注意ください。

尿検査で特に注意が必要なのがビタミンCです。

ビタミンCは、尿中の糖などを検出するための反応を抑えてしまうはたらきがあります。そのため本当は尿に糖が含まれていたとしても、ビタミンCの影響で検出されなくなる(偽陰性になる)おそれがあります。

果物やジュースを少し食べたり飲んだりする程度であればそれほど影響はありませんが、ビタミンCを含むサプリメントや栄養ドリンクなどは、尿検査の2〜3日前から控えるようにしてください。

生理中でも検査できる?

生理中は尿に血液が混じるため、尿から血液が検出されたとしても、それが生理による血液なのか病気による出血なのか、区別することは困難です。

たとえ尿の見た目が赤くなかったとしても、尿検査ではごくわずかな血液でも検出できます。

そのため可能であれば、検査の日程をずらして生理でないときに検査をするのが望ましいです。生理中だけでなく、生理前後の3~5日は血液が混入する可能性があるので、できればこの期間も避けて検査の予定を組むのが理想です。

健康診断の日程を変更したり、尿だけ別の日に持参したり、生理中であることを考慮した上で検査を行ったりなど、対応は病院や学校などによりますので、確認してみてください。

量が少ないときは?

決められた量より少し少ない程度であれば検査可能なことが多いですが、半分以下など明らかに少ない場合は検査ができないおそれがあります。

どうしても十分な量が出なかった場合は、病院や学校などに確認してください。

量が足りなかったからといって、水や2回目以降の尿をつぎ足すことはやめましょう。

前日の尿でもOK?

卓上カレンダー

尿は時間が経つと細菌が増殖しますし、増えた細菌によって尿の成分が変化してしまいます。また尿に含まれる赤血球や白血球などの細胞も壊れていくため、検出できなくなります。

尿は必ず検査当日の、指定されたタイミングでとるようにしましょう。

おわりに

自宅で尿をとっていく場合、病院で検査するのと違って、疑問に思ったことがあっても医療従事者にすぐ聞くことができないので、困った経験があるかたも多いのではないでしょうか。

そんなときはこの記事を参考にしてみてくださいね。また対応が医療機関によって異なることがありますので、検査を受ける病院や学校へも確認をお願いします。

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