検査前の食事はダメ?お茶やコーヒーは?食事の検査への影響について解説

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検査の前に食事したらダメ?

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病院で採血やエコー検査、胃カメラなどを予定していて、「食事はどうしたらいい?」と心配になっているかたもいると思います。

今回は検査前の食事についてまとめてみました。

ATTENTION

食事がOKかNGか、食事の間隔をどのくらいあけるのか、どの程度なら食べても大丈夫なのかなとば、検査内容や患者さんの状態、医師の判断などによります。ここで紹介しているのはあくまで一般的な内容です。自己判断はせず、検査前に医師や看護師から案内があると思うので、それに従ってください。


どんな検査が食事の影響を受けるの?

食事の影響を受けやすい検査は以下のとおりです。

血液検査(採血)

血液検査

血液検査については、食事の影響を受けない検査項目もあります。たとえば極端な話ですが、血液型は食事をしても変わりませんよね。

ですが血液検査の検査項目は、食事のほかにも朝や夜など1日のうちで変動するものや、運動や喫煙などの影響を受けるものもあります。

そのため血液検査の数値は、これらの影響をできるかぎり避けるように、朝の空腹時を基本に考えられています。なので食後に検査をするのはあまり望ましくはありません。

食事の影響を受ける検査項目の代表的なものには、血糖値や中性脂肪があります。

血糖値

血糖値は血液中のグルコース(ブドウ糖)という糖の濃度のことで、からだのエネルギー源です。

ご飯やパン、砂糖などの食べものに含まれる炭水化物が、からだの中で消化、吸収されてグルコースになり、血液中に入っていきます。そのため血糖値は食後に上がります。

血糖値が上がると、膵臓から血糖値を下げるインスリンというホルモンが分泌されることで、血糖値は食事前の数値に戻ります。

ちなみに血糖値を調べる検査で、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)という検査項目があります。HbA1cは1〜2か月前の血糖値を反映しますが、直前の食事の影響は受けません。

中性脂肪

中性脂肪には体内にエネルギーを蓄える役割があります。からだを動かすためのエネルギーにはおもにグルコースが使われますが、グルコースが不足したときは、蓄えられた中性脂肪が利用されます。

中性脂肪は、脂肪分の多い食事をすると数値が上がります。またお酒を飲んでも中性脂肪は上昇します。アルコールは肝臓でアセトアルデヒドに分解されますが、このアセトアルデヒドは脂肪が分解されるのを抑え、中性脂肪がたくさんつくられるようにしてしまうためです。

ちなみに中性脂肪を検査するときには、採血管を遠心分離機で遠心して上澄み(血清)を使います。血清は通常では澄んだ薄い黄色なのですが、中性脂肪が多いと白くにごります(乳びといいます)。

学生時代、実習に使う血液は学生同士で採血していたのですが、午後イチの実習で採血したとき、お昼にこってりラーメンを食べた同級生の血清がものすごく乳びしていたのをいまだに覚えています。

エコー(超音波)検査

エコー検査

エコー検査も食事の影響を受けるものと受けないものがあります。

心エコーは心臓、頸動脈エコーは首の血管をみる検査なので、食事の影響は受けません。いつもどおり食事をしてOKです。

一方で腹部エコーは食事がNGです。

腹部エコーで検査する胆嚢(たんのう)という臓器は、袋状で中に胆汁という消化液が入っています。空腹時の胆嚢は胆汁がたくさん入っているのでふくらんでいますが、食事をすると胆汁が分泌されるため、胆嚢はしぼみます。すると胆嚢の中がよく見えなくなってしまい、胆石や胆嚢がんなどが見つけにくくなります。

ほかにも食事で胃がふくらむことで、胃のうしろにある膵臓も見えづらくなります。また腸にガスがたまると、超音波は空気を反射してしまうため、おなかの中が全体的によく見えなくなります。

胃カメラ/大腸カメラ(内視鏡検査)

胃カメラ、大腸カメラは、口や鼻、おしりから内視鏡というスコープを入れて、カメラで胃や大腸の様子を観察する検査です。

胃カメラ、大腸カメラともに、検査前日の食事は夜9時ごろまでにはすませて、それ以降は何も食べないように案内しているところが多いです。

食べたものが残っていると、胃や大腸の中がよく見えず、十分に検査できません。前日の食事も、野菜やきのこ、ナッツ類など消化に時間のかかるものは避けましょう。

胃バリウム検査

胃バリウム検査は、発泡剤で胃を膨らませてバリウムという造影剤を飲み、レントゲンで胃を撮影する検査です。

バリウム検査も胃の中に食べものが残っていると、正確な検査ができません。また食事によって胃液が出ることで、バリウムが胃の壁につきにくくなってしまいます。

バリウム検査も検査前日の食事は消化のよいものにして、夜9時ごろまでにはすませておきましょう。

また胃に水分があるとバリウムが薄まってしまうため、当日の朝ごはんだけでなく検査直前のお水や白湯も禁止となります。

どのくらい時間をあけたらいいの?

時間

血糖値や中性脂肪の数値が、食事をしてから空腹時と同じ状態に戻るまで、血糖値は約2時間、中性脂肪は10時間以上かかるといわれています。

そのため採血の際には、「最後の食事から12時間以上何も食べていない状態」が望ましいです。朝9時に検査予定なら、前日の夜9時までに夕食をすませ、それ以降は食べないようにしましょう。

腹部エコー検査は病院によりますが、検査の5時間以上前からは何も食べないのが望ましいです。検査が午後の場合は、朝ごはんを軽めになら食べていい場合もあります。

お水やお茶もダメ?

水

飲みものは水や白湯であれば、ほとんどの場合大丈夫です。ただしがぶ飲みはせず、喉を潤す程度にしましょう。

ジュースや牛乳は、糖分や脂肪分を含むためNGです。ミルクや砂糖が入っているコーヒーも同じです。

お茶やブラックコーヒーであればOKのこともありますが、これらには利尿作用があり、それが検査に影響する可能性があります。病院からOKと言われていない限りは避けたほうが無難です。

お酒は糖分が含まれていますし、利尿作用もあります。また肝機能の検査項目に影響を与える可能性もあるため、検査前は禁酒でお願いします。

アメやガム、ゼリー、サプリメントなども控えてください。

薬はどうすればいい?

薬

心臓病や高血圧などの薬は飲まないと病状が悪化するおそれがあるため、飲んでいいことが多いですが、検査内容と薬の種類によります。

糖尿病でインスリンを注射している患者さんの場合、インスリンの量は食事をすることを前提に設定されています。そのため食事をしないのにインスリンを注射してしまうと血糖値が下がりすぎてしまい、気分が悪くなったり気を失ってしまったりすることがあります。

薬についても自己判断はしないで、病院に確認してください。

うっかり食事をしてしまった!

もしうっかり食事をしてしまった、薬は飲まないようにと言われていたのに飲んでしまった、という場合は、病院に連絡してください。

またその際は、食べた時間、食べたもの、食べた量をなるべく正確に、具体的に伝えると、病院側も判断がしやすいです。

食事すると行えない検査もあります。そうでなくても食事のために正確な結果が出なかったり、十分に調べられなかったりしますので、基本的には日を改めて検査をするのが望ましいです。

ですが食べたのが少量であれば、検査の時間を遅らせたり、食後であることを考慮した上で検査をしたりする場合もあります。対応は病院や患者さんの状態によって異なります。

食事したことを黙って検査を受けると、ちゃんと検査ができなかったり、検査結果に異常が出て再検査になったりするかもしれません。必ず申し出るようにお願いします。

おわりに

食事が検査に与える影響についてご紹介しました。

臨床検査技師として仕事をしていると、たとえば腹部エコー検査の予定なのに「朝ごはんいつもどおり食べてきました!」とか、「コーヒーや牛乳なら大丈夫だよね?」というかたがけっこういらっしゃいます。

正確な検査を行うためにも、食事についての指示は守っていただくようにお願いします。

でも実際、朝ごはん抜きはおなかすきますよね。

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