血管が見えづらい人必見!採血で失敗されにくくなる9つの方法
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私は病院で、血液検査や心電図などの検査を行う臨床検査技師という仕事をしており、業務のひとつとして採血があります。
採血をしていると、「血管が見えづらくて…」という患者さんがいらっしゃいます。
私も血管が見えなくて採血されるときに苦労するので、気持ちがよくわかります…。
そこで今回は、血管が見えづらいときの対処法についてご紹介します。
そもそも採血しやすい人としづらい人は何が違うの?
血管の太さや、腕をどのように血管が走っているか、どのくらいの深さに血管があるかなどは、人によるところが大きいです。
採血しやすい人、失敗されにくい人とは、「採血に適した血管が、腕の浅いところを走っている人」ということです。
採血に適した血管とは、「太さがあり、指で触るとプニプニと弾力がある血管」のことです。たとえ血管が青く浮き出ていなくても、指で触って弾力がある血管が確認できれば、採血しやすいです。
一方で腕に血管が青い筋のようにたくさん見えていても、触って弾力が感じられなければ、針を刺しても血液がとれない可能性が高いです。
ほかにも皮下脂肪に覆われて血管が深いところにある人や、動脈硬化で血管が硬くなっている人、血管が細い人などは採血がしづらいです。
採血を失敗されにくくなる方法は?
正直なところ、採血の成功率は採血する人の技量と、患者さんの血管が採血しやすい血管かどうかによるところが大きいです。
ですがちょっとした工夫で、採血の成功率を上げることができますよ。
腕を出しやすい服装にする
採血は基本的に肘の内側で行います。また刺すところより肩側に駆血帯(くけつたい/採血するときに腕を縛るバンド)を巻きます。
そのため半袖や袖がゆったりした服を着るなど、腕を出しやすい服装のほうが採血しやすいです。
特に冬はみなさん着込んでいるので、腕まくりが大変ですね。
水分をとる
脱水気味だと血液量が減り、血管も見えづらくなってしまいます。採血する日はいつもより多めに水分をとるといいですよ。
ただしジュースなどは糖分や脂肪分を含むため、飲みすぎはからだによくありませんし、検査結果にも影響します。飲むのは水やお茶にして、無理のない範囲で飲んでください。
また治療のため普段から水分をとる量に制限があったり、検査のために飲食を控えるように言われたりしている場合は、医師や看護師の指示に従ってください。
手や腕を温める
手や腕が冷えていると、血管が見えづらくなります。逆に血管は温かいところでは拡がる性質があります。
そこで採血の順番を待っているときに、温かい飲み物の缶やペットボトル、カイロなどで手や肘の内側を温めておくと、いつもより血管が見えやすくなります。低温やけどにはご注意くださいね。
また多くの病院では採血室に蒸しタオルや保温剤を用意しているので、血管が見えづらいことを伝えれば借りられますよ。
私も以前病院で採血したとき、お湯を入れた洗面器に手を入れて、腕には保温剤をのせられたことがありますが、おかげで血管が見えて1回で成功しました!
腕を下げる
心臓より下の位置に腕を下げておくと、手や腕に血液が集まります。そこに駆血帯を巻くことで、心臓に戻ろうとする血液をせき止めるので、血管が見えやすくなります(そのため駆血帯を巻いてから腕を下げても効果はありません)。
両腕を見せる
採血する側としては、両腕を見て一番とりやすそうなところから採血したいです。
利き腕のほうが血管が見えやすい人が多いですが、血管の見えかたは人それぞれ。それに両腕の血管が見やすければ、利き腕と逆の腕から採血したほうが、患者さんにとってはちょっとだけ負担が少ないですよね。
どうしても腕の血管が見えなければ、手の甲から採血することもあります。
腕より手の甲のほうが痛いのですが、腕で何回も失敗されるよりは、手の甲で1回で成功したほうがいいのかなと…。
両腕を見せて、「とりやすいところから採血して」と言われれば、採血する側もやりやすいです。
ただし透析しているなどの理由で採血できないところがある患者さんは、採血前に伝えてくださいね。
成功した場所を伝える
「前に採血したときはここからとれました」という情報は、採血する側にはとてもありがたいです。
同じ人でも血管の見えやすさは日によって変わることもあるので、毎回同じところで確実に成功するとはいえないのですが、それでも過去に採血できたところがわかれば成功率は上がりますね。
腕に力を入れる
採血するときに「親指を中に入れて、手をぐっと握ってください」と声をかけられると思います。
これは力を入れることで腕の血管を流れる血液量を増やし、血管を見えやすくするためです。
ただし力のかぎり強く握りすぎたり、手を握ったり開いたり(グーパーグーパー)することはやらないほうがいいです。
グーパーすることは「クレンチング」と言います。クレンチングをすると腕の筋肉が収縮し、筋肉の細胞の中に含まれるカリウムが外に出て、血液中に漏れ出てきてしまうことがあります。
そのため血液中のカリウムの数値が高くなってしまい、正確な検査結果が得られなくなるおそれがあります。
また針が刺さるとすぐに力を抜くかたもいますが、そうすると血液量が減って血液がとれにくくなったり、血管が動いて針が血管から抜けてしまったりすることがあります。力を抜いても大丈夫になったらこちらから伝えますので、それまでは握っていてくださいね。
リラックスする
緊張すると交感神経がはたらき、血管が収縮してしまいます。
「痛いの嫌だな、失敗されたらどうしよう」という不安があるでしょうから、リラックスしろというのも難しい話ではありますが、深呼吸するなどしてなるべく落ち着いた気持ちでいるほうが、成功しやすくなるかもしれません。
プレッシャーをかけない
たまに「1回で成功させてくださいね!」とか「絶対に失敗しないでください」と言う患者さんがいらっしゃいます。
たしかに失敗されると嫌という気持ちもわかります。ですが採血する側としても1回で成功したいのは同じです。できれば採血する側も落ち着いてやりたいので、プレッシャーをかけないでいただけるとありがたいです…。
おわりに
採血で失敗されにくくなるコツについてご紹介しました。
今回紹介したとおりにやれば必ず成功する…とは言えませんが、これで少しでもみなさんの採血の成功率が上がれば幸いです。