どんな勉強をするの?臨床検査技師を目指す大学生活を紹介
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臨床検査技師になるためには、養成コースがある専門学校や医療技術短期大学、または4年制大学で勉強する必要があります。
将来の進路に臨床検査技師を考えている学生さんの中には、
「臨床検査技師の大学ではどんな勉強をするの?」
「大学生活は忙しい?サークルやバイトはできる?」
と気になっているかたもいるのではないでしょうか。
私は4年制大学を出て臨床検査技師になりました。私の大学生活を振り返ってみようと思います。
大学や短大、専門学校によってカリキュラムも違うと思いますが、臨床検査技師の大学生活が気になっているかたは参考にしてみてください。
大学4年間のスケジュール
臨床検査技師になるための大学でも、ほかの大学と同様に重要なのが「単位」です。
大学の講義や実習に出席して、テストやレポートなどをクリアすれば単位がもらえます。もらえる単位の数は講義や実習によって異なります。
大学では全員が同じ時間割で講義を受けるわけではありません。必ず単位をとらなければならない講義(必修)や卒業に必要な単位数は決まっていますが、その条件を満たしていれば自分でどの講義を受けるかを決められます。
私の出身大学では、以下のようなスケジュールで学びました。
- 1年生:教養科目、医学の基礎
- 2年生:臨床検査の講義と実習
- 3年生:臨床検査の講義と実習、病院実習
- 4年生:卒業研究
それでは順番にご紹介します。
教養科目
私の出身大学には教養科目がありました。
教養科目とは、自分の学部に限らず、さまざまな分野を学ぶ科目です(教養科目の内容は大学によって異なりますし、教養科目がない大学もあります)。
教養科目はけっこう好きに選ぶことができたので、私は医療系の講義だけでなく、法学や哲学、心理学などを受けてみました。個人的には法学がけっこう楽しかったです!
第二外国語(英語以外の外国語)もイタリア語やフランス語、中国語などから選べたので、私は医療系っぽいなと思ってドイツ語をやってみました。
今となってはもうほとんど忘れちゃって、1から10まで数えるのがやっとですが…。
教養科目は卒業までに必要な単位が取れていればよかったのですが、2年生以降は専門分野の講義が忙しくなるので、1年生のうちに教養科目で必要な単位をほぼとっておきました。
医学の基礎
大学1年生のうちに、教養科目と並行して医学の基礎の講義も始まります。
具体的には以下のようなものがあります。
生理学
肺で酸素を取り込む、消化器で食べ物を消化して栄養を吸収する、心臓が動いて全身に血液を運ぶ、脳が指令を出してからだを動かすといった、ヒトのからだの機能を学びます。
生化学
タンパク質や糖質、脂質などがどのようにしてヒトのからだを形づくっているのか、またそれらがからだの中でつくられたり分解されたりするメカニズムを学びます。
解剖学
ヒトのからだの中で、どんな骨がどこにあるのか、その骨を動かすのに筋肉がどのようについているのか、内蔵はそれぞれどこに位置しているのかなど、からだの構造を学びます。
病理学
ヒトの病気の原因や、病気になるメカニズム、病気になったときに細胞や臓器がどのように変化するかなどを学びます。
公衆衛生学
公衆衛生とは、地域や国などの集団で病気の予防や健康の増進をはかることです。そのための感染症予防や生活習慣病対策、食品衛生、母子保健などについて学びます。
臨床検査の講義と実習
医学の基礎も終わり、2年生になるといよいよ本格的な検査についての講義が始まります。
講義だけでなく実習も行います。実習では4〜6人くらいのグループに分かれて、講義で学んだ検査を実践します。
具体的には以下のようなものがあります。
臨床血液学
血液に含まれる赤血球や白血球、血小板などの成分やその機能、凝固(出血時に血液を固めて止血すること)のメカニズム、白血病などの血液の病気やその検査方法などを学びます。
実習では血液標本を作製して顕微鏡で赤血球や白血球の観察をしたり、凝固のはたらきを調べる検査を行ったりします。
臨床化学
からだの中の電解質やタンパク質、糖質、脂質、酵素などの検査方法や、病気によって検査結果がどのように変化するのかなどを学びます。
実習では血液中のタンパク質や脂質、酵素などを測定します。
臨床生理学
呼吸や食べ物の消化、血液の循環などのからだのはたらきを調べるために、心電図やエコー、肺機能検査、脳波などの検査方法を学びます。
実習ではこれらの検査を、学生どうしで検査する側とされる側になってやりましたね。
病理組織細胞学
病理標本(臓器の一部などを顕微鏡で観察できるように薄く切って染めたもの)の作製方法や、病気による細胞の形の変化などを学びます。
実習では病理標本を作製して、がん細胞などを顕微鏡で観察しました。
臨床免疫学
からだの免疫のメカニズムや、自己免疫疾患、アレルギーなどについて学びます。また抗原抗体反応(からだがウイルスなどの抗原を認識して抗体をつくって攻撃をするしくみ)を利用した検査方法についても学びます。
輸血についても学び、血液型検査や交差適合試験(患者さんと血液製剤が適合しているか調べる検査)の実習も行います。
臨床微生物学
病気の原因となる細菌や真菌、ウイルスなどの種類や特徴、検査方法などを学びます。
実習では細菌を培養し、それがどんな細菌なのかを特定したり、どの薬剤が効くのかを調べたりします。
病院実習
3年生または4年生で病院実習(臨地実習)があります。私の出身大学は3年生のときにありました。
病院へ行き、そこで働いている臨床検査技師から検査について教えてもらったり、実際に患者さんの検査をしているところを見学したり、検査の実習をしたりします。
実習期間は学校にもよりますが、数週間から3か月くらい。4〜6人のグループで行う場合もあれば、1〜2人のところもあります。大学の附属病院があればそこへ実習に行く場合もありますし、大学周囲の病院が学生の実習を受け入れていることもあります。
普段の講義や実習ではわからない、実際に臨床検査技師が働く現場を見られるチャンスです。
卒業研究
大学4年生では卒業研究があります。
大学の先生はそれぞれ研究室を持っているので、自分が興味のある分野の研究をしている先生の研究室に所属して研究します。先生の研究の一部や、それに関連した研究をやることが多いです。
研究の成果をまとめて卒業論文にします。今までの講義や実習で必要な単位が取れていて、卒業論文も内容が認められれば、晴れて卒業できます。
大学院への進学を考えている人は、卒業研究はその最初の一歩ですね。大学院でも卒業研究で所属した研究室で研究の続きをする人が多いので、大学院へ行きたい人は研究室選びが重要です。
2年生からはかなりハードスケジュール
私の出身大学では3年生の後期に病院実習がひかえていたので、それまでにひととおりの講義と実習を終わらせるために、2〜3年生はかなりハードなスケジュールでした。
毎日朝から講義も実習もびっしり。いつも終わるのが夕方の5時とか6時。最長で夜の9時くらいまで実習が終わらなかったこともありました…。
おまけに実習のあとは、実習で行った検査について「検査の原理や手順、結果、この検査でどんなことがわかるのか」といったことをレポートにして提出しないといけないので、週に5〜6本レポートを書いていました。
1年生のころは教養科目を比較的自由に選べましたし、専門科目もそこまでみっちりではなかったので、「これがキャンパスライフか〜」なんて思っていました。
ところが2年生以降はほぼ必修(しかもひとつでも単位がとれなければ進級できない)で、1日中講義や実習に追われる日々…。
「この講義は単位もらえなくても大丈夫だから出なくていいや〜」とか、「火曜日はひとつも講義入れなかったからお休み!」みたいな大学生らしいこととは無縁でした。
4年生になると卒業研究と並行して、就職する人は就活、大学院へ進学する人は院試(大学院へ進学するための試験)の勉強もする必要があります。
さらに最後に待ち受ける関門、国家試験の勉強もしないといけません。
私の出身大学は2〜3年生のときにハードスケジュールだったおかげで、4年生では講義も実習もほぼありませんでした。なので卒業研究と就活、国家試験の勉強に集中できましたね。
ですが私が働く病院に実習に来る学生さんには4年生もいます。卒業研究に就活、国試対策に加えて病院実習もしないとなんて、けっこうハードだなぁ…。
バイトやサークルはできるの?
必修の講義や実習ばかりですし、ひたすらレポート書きますし、たしかに忙しいですが、バイトやサークルもできますよ。
実際に私の同級生も、ほとんどの人がバイトやサークルをやっていました。両方やっている人もいましたね。サークルに入っていると先輩とのつながりができて、期末試験の過去問が入手できるなんてことも。
私も2〜3年生のときに、家の近くのコンビニでバイトしていました。大学生らしく家庭教師をやっている人もいましたね。
また大学は夏休みと冬休みが長く、それぞれ1か月以上あります。その間にたくさんバイトしたり、サークルに打ち込んだり、旅行に行ったり…いろいろできますよ。
私は家でゲームしていましたが…。
おわりに
臨床検査技師の大学生活を振り返ってみました。
大量に課されるレポートも、膨大な試験範囲も大変でしたが、なんやかんやで友達ができたり、飲み会したりと楽しいこともありましたよ。
みなさんも楽しいキャンパスライフを!