臨床検査技師の国家試験対策 2か月で40点アップした勉強法3ステップ
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臨床検査技師になるために、避けては通れないのが国家試験。
私は一応国家試験に合格して臨床検査技師として働いていますが、学生時代の成績は下から数えたほうが早い、かろうじて留年だけはしないで済んだレベルの落ちこぼれでした。
国家試験の勉強もロクにしておらず、大学4年生の9月に受けた国家試験の模試は68点。100点満点じゃないですよ。200点満点で68点です。さすがにやばいと思って勉強したところ、11月の模試で105点、本番で137点まで上げることができ、どうにか合格しました。
今回は私がやっていた勉強法をご紹介します。この勉強法がすべてではありませんが、国家試験の勉強をどうしたらいいかわからないと悩んでいる人のお役に立てれば幸いです。
国家試験の勉強法の基本
臨床検査技師の国家試験に合格するための、最も効果的で効率の良い方法は、過去問を勉強することです。
臨床検査技師国家試験には、過去に出題された問題とよく似た問題が多数出題されます。つまり過去問を解いて、出やすいポイントを重点的に勉強していくことが大切なのです。
「まだほとんど試験勉強に手をつけていないのに、いきなり過去問をやっても理解できないんじゃないの?まずは教科書から勉強すべきでは?」と思われるかもしれません。
ですが教科書を最初から勉強するというやりかたでは、国家試験にほとんど出題されないところまで時間をかけて勉強することになります。学問を極めるというのであればそれでいいのかもしれませんが、国家試験に受かるための勉強としては効率が悪すぎます。
国家試験の勉強をはじめようと思ったら、まずは過去問を用意しましょう。
いつから勉強するべき?
大学の場合、3年生の後期または4年生の前期に病院実習があり、また4年生の1年間は卒業研究にあてられるところがほとんどだと思います。
つまり3年生の終わりには、国家試験の出題範囲の講義や実習はほぼ終わっていることになります。
4年生は国家試験の勉強と並行して、卒業研究や就職活動(または院試勉強)、大学によっては病院実習などを行わなくてはなりません。
そのため試験直前にあわてて詰め込むよりは、大学生なら3年生の終わりか4年生になったあたりから、早めに少しずつ勉強していくほうがいいですよ。
具体的な勉強方法3ステップ
過去問(問題集)を用意する
過去問の問題と解答だけなら、ネットで「臨床検査技師国家試験」と検索すれば、厚生労働省のホームページから無料で閲覧、ダウンロードできます。
ですがこれには解説がついていません。解説がなくてもある程度理解できる、イチから調べて自分で解説をつくる時間と余裕がある、試験の予行練習として使う、というのであれば解説なしでもいいと思いますが、そうでなければ解説つきの過去問題集がおすすめです。
臨床検査技師の国試過去問題集といえば、金原出版、医歯薬出版、医学書院の3つが有名です。
私が使ったのは金原出版です。
金原出版の過去問はほぼすべての問題で、正解の選択肢だけでなく不正解の選択肢にも「なぜこの選択肢は間違いなのか」がちゃんと解説されています。医歯薬出版や医学書院は解説が正解の選択肢だけだったり、解説がなかったりする問題もあります。
私は200点満点で68点という壊滅的な状態だったので、金原出版の丁寧な解説は非常にありがたかったです。
私が受験生のときはありませんでしたが、今ならクエスチョン・バンクの「臨床検査技師国家試験問題集」もおすすめです。
わかりやすい解説とかわいいイラストで、医療従事者のあいだでおなじみの参考書「病気がみえる」シリーズと同じ出版社が出している過去問題集です。
「病みえ」と同じ、わかりやすくてまとまっている解説がついているので、国試勉強はこれ一冊で十分なんじゃないかなと。
これ私が学生のときに欲しかった…。
過去問の選択肢を正しく直す
過去問を解いていきます。このとき、第68回、67回、66回…というように年度ごとにやっていくより、5年ぶんの臨床血液学、病理組織細胞学…というように、分野ごとに解いていきましょう(理由は後述します)。
また問題の出題傾向が少しずつ変わるので、古いものより新しい過去問から解いていくほうがいいですよ。最低でも5年ぶんはやりましょう。
どの分野からはじめるかはお好みでかまいませんが、得意科目からはじめたほうがとっつきやすいです。
たとえば臨床化学は配点が一番高いですが、だからといって苦手な人がずっと臨床化学ばかりやっていたら嫌になってしまいますからね。まずは自分の好きな分野から勉強していきましょう。そのほうが勉強のモチベーションも上がります。
特に得意科目がない…という人は、まずは臨床免疫学や臨床血液学からやってみるのがおすすめです。
どちらもほかの分野と比べて覚えることが多くなく、とっつきやすい印象があります。暗記が苦手でないなら臨床微生物学や病理組織細胞学もいいですね。
問題を解いていくときの注意点ですが、「当てずっぽうでも正解したらそれでOK」とか、「ただ正解の選択肢を確認して終わり」ではダメです。
たとえば以下の問題をご覧ください。
- ビタミンA欠乏で白内障になる。
- ビタミンB12欠乏で巨赤芽球性貧血になる。
- ビタミンC欠乏で溶血性貧血になる。
- ビタミンD欠乏で尿管結石になる。
- ビタミンE欠乏でWernicke脳症になる
この問題の答えは2です。ですがただ正解の選択肢を覚えるだけでは、まったく同じ問題が出たときしか対応できません。
上の問題の場合、「答えは2番」とか「ビタミンB12欠乏で巨赤芽球性貧血になる」しか覚えていなかったら、あまり意味がありません。
間違っている選択肢も、「どこが間違いなのか、どう直せば正解なのか」を理解しておきます。
上の問題なら、
- ビタミンA欠乏で白内障になる。→夜盲症になる。
- ビタミンB12欠乏で巨赤芽球性貧血になる。→正解
- ビタミンC欠乏で溶血性貧血になる。→壊血病になる。
- ビタミンD欠乏で尿管結石になる。→くる病、骨粗鬆症になる。
- ビタミンE欠乏でWernicke脳症になる。→溶血性貧血になる。
問題集の解説を読むなり教科書で調べるなりして、ここまで覚えておきましょう。いきなり自力で正解を出そうとする必要はありません。
過去問の出題傾向をつかむ
そんなふうにして過去問を解き続けると、「これ前に似たようなやつあったな」という問題に出くわします。
たとえばこんな感じです。
- LD3
- CK-MB
- トロポニンT
- ミオシン軽鎖
- 心臓型脂肪酸結合蛋白(H-FABP)
- CK-MB
- ミオグロビン
- 心筋トロポニンT(cTnT)
- 心臓型脂肪酸結合蛋白(H-FABP)
- 脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)
問題文や選択肢は微妙に違いますが、要は心筋梗塞マーカーがちゃんと頭に入っていればどちらも解ける問題です。
上の問題であれば、心筋梗塞マーカーをまとめて暗記しておきましょう。そうすれば66回、65回ともに解くことができます。
- ミオグロビン
- 心臓型脂肪酸結合蛋白(H-FABP)
- トロポニンT
- CK-MB
- ミオシン軽鎖
このように過去問をたくさん解いていけば、「この問題は過去に何回も出題されている」というのがわかってきます。
その「出やすいポイント」を重点的に勉強していくことで、解ける問題も飛躍的に増えていくはずです(そのため年度ごとではなく分野ごとに解いていくことをおすすめしています)。
5年ぶんの国家試験の問題とその周辺知識が頭に入っていれば、6割はほぼ確実に取れると思います。そこまでとにかくくり返し過去問を解き、余裕があればさらに過去の問題も勉強しておくといいでしょう。
また1つの分野が終わったら次の分野、というように勉強していくのもいいですが、最初のほうに勉強したことを忘れないようにときどき復習するとか、複数の分野を並行して勉強していくのも効果的です。
私は金原出版の問題集を何周もして、試験直前には3時間もあれば1周できるくらいまでやりこみました。
自己採点のクセをつけておく
大学4年生、専門学校3年生になると、国家試験の模試を受ける機会があると思います。このときに「自己採点するクセ」をつけておきましょう。
というのも、国家試験の合格発表は毎年3月末です。臨床検査技師として病院などで働く予定の人は、4月から働き始めるのに3月末の結果発表だとけっこう慌ただしいですよね。
厚生労働省から正式な解答が発表されますが、試験直後に出るわけではありません。そこで自己採点が必要になります。試験問題の冊子は持ち帰ることができるので、そこに自分の解答をメモしておきます。
本番でいきなりやろうとすると、メモし忘れたり記入ミスをしたりするおそれがあるので、模試や試験勉強中に自己採点のクセをつけておくといいですよ。
私は試験から帰ってきたら、自分で教科書などで調べたり、大学に集まって同級生と答え合わせをしたり、ネットで試験問題を解説してくれているサイトを参考にしたりして自己採点をしました。
自己採点しているときは本当に胃が痛かったなぁ…。
なかなか勉強に集中できないときは
家で一人で勉強していると、ついついスマホを見たりゴロゴロしたりしてしまう…という人もいるのではないでしょうか。
私のことですね。
そんな人は、友だちと一緒に勉強してみてはどうでしょう。同じ臨床検査技師を目指すもの同士ですから、モチベーションも保てますし、わからないところを教え合うこともできます。人に教えると自分の理解も深まりますし。
私も正直友だちが多くはなかったのですが、同じ研究室の同級生と一緒に勉強したらけっこうはかどりましたよ。
ほかにも大学図書館の自習室だと、まわりの人も勉強しているので、自然とスマホを見ることなく勉強に集中できました。実家暮らしならリビングとか、人の目があるところだとだらけずに勉強できるかもしれません。
おわりに
国家試験はとにかく過去問を対策することが一番大切です。
模試の点数が悪くても、勉強していれば本番はどうなるかわかりません。最後まであきらめず、気を抜かずにがんばってくださいね!みなさんの合格をお祈りしています。