検査結果の意味がこれでわかる!血液検査の結果の見方

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血液検査の結果の見方

「人間ドックや通院で採血した血液検査の結果を渡されたけど、アルファベットばかりでよくわからない…」というかた、多いのではないでしょうか。

そこで血液検査をするお仕事、臨床検査技師が、普段の血液検査でよく調べられる項目について解説してみました。

血液検査の基準範囲については、こちらの記事もご覧ください。

血球検査

WBC(白血球数)

白血球は血液に含まれる細胞で、からだに侵入してきた細菌やウイルスなどと戦い、からだを守っています。白血球はさらに好中球、好塩基球、好酸球、単球、リンパ球の5つに分類されます。

細菌やウイルスによる感染症など、からだに炎症が起きると白血球が増加します。タバコを吸っている人も白血球数が高くなりがちです。

また白血病でも増加します。白血病では、がん化した白血病細胞が大量に増殖してしまうためです。

RBC(赤血球数)/Hb(ヘモグロビン)/Ht(ヘマトクリット値)

赤血球も血液中に含まれる細胞です。ヘモグロビンは赤血球に含まれるタンパク質で、酸素をからだ中に運ぶ役割を担っています。ヘマトクリットは、血液の中で赤血球が占める割合のことです。

赤血球やヘモグロビンが少ない状態を貧血と言います。赤血球数やヘモグロビン、ヘマトクリットは、貧血かどうかの指標になります。

さらに赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリットから、次の数値が割り出されます。


  • 赤血球の平均的な大きさ(MCV)
  • 赤血球1個あたりの平均ヘモグロビン量(MCH)
  • 赤血球の1個あたりの平均ヘモグロビン濃度(MCHC)

貧血には鉄欠乏性貧血(赤血球をつくるのに必要な鉄が足りていない)や溶血性貧血(赤血球が壊されてしまう)、再生不良性貧血(赤血球がつくれない)などがあり、これらの検査結果から、どの種類の貧血なのか判断できます。

PLT(血小板数)

血小板も血液に含まれる細胞のひとつで、出血したときに血を止める役割を担います。

自分の血小板を攻撃する抗体がつくられてしまう特発性血小板減少性紫斑病(ITP)や、小さな血の塊がからだ中にできて血小板を使い切ってしまう播種性血管内凝固症候群(DIC)などで減少します。

また肝硬変では、硬くなった肝臓への血液が減少するかわりに脾臓への血液が増加し、脾臓で血小板を必要以上に壊してしまうため減少します。

血小板が極度に少なくなると、鼻血などちょっとした出血でも止まらなくなったり、からだのあちこちにアザ(内出血)ができたりします。

肝機能検査

TP(総タンパク)/Alb(アルブミン)

アルブミンはタンパク質の一種です。血液中にはアルブミンやグロブリンなどのタンパク質があり、それらをひっくるめた数値が総タンパクです。

総タンパクやアルブミンが少ないということは、からだの中のタンパク質が少ない、つまり低栄養状態であることを表します。

アルブミンは肝臓でつくられるので、肝硬変などで肝臓のはたらきが悪い場合も低下します。

また血液中のアルブミン(A)とグロブリン(G)の比率をA/G比といいます。健康であればアルブミンとグロブリンの割合は一定に保たれています。しかし低栄養や肝臓の病気でアルブミンが減少したり、多発性骨髄腫という病気で異常なグロブリンが大量につくられてしまったりすると、アルブミンとグロブリンのバランスが崩れます。

AST/ALT

AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)もALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)も、心臓や肝臓、筋肉などさまざまな臓器に存在する酵素です。これらがダメージを受けると、ASTやALTが血液中に出てくるため、数値が高くなります。

ALTは特に肝臓に多く存在するため、脂肪肝や肝炎などで高くなります。一方でASTのみが高い場合は、心筋梗塞や筋肉の病気などが疑われます。

ちなみに以前はASTをGOT、ALTをGPTと呼んでいました。そのため検査結果の用紙に「AST(GOT)」のように書かれていることもあります。いまだにそう呼んでいる先生もたまにいますね。

γ-GTP

γ-GTP(ガンマジーティーピー)はタンパク質を分解する酵素のひとつで、アルコール性肝障害や慢性肝炎など、肝臓や胆道に病気があると高くなります。

お酒をよく飲む人は高くなりやすいです。

ALP

ALP(アルカリホスファターゼ)は肝臓、胆管、骨、胎盤などに多く含まれる酵素です。

ALPは肝臓で処理されて胆汁へ流れ出ますが、胆石や胆道がんなどで胆道がふさがれる(胆汁うっ滞)と、ALPは血液中へ逆流してしまうため高くなります。

ALPは胆汁うっ滞で高くなりますが、肝炎や肝硬変などではあまり高くなりません。一方ASTやALTは肝炎などで高くなり、胆汁うっ滞ではあまり高くならないので、これらの数値を比べることで、どこに病気があるのかを推測できます。

またALPは骨や胎盤にも存在するため、骨の病気の患者さんや妊婦さん、骨が成長中の子どもも高くなります。

ChE

ChE(コリンエステラーゼ)は肝臓でつくられる酵素のため、肝臓の機能が低下すると低下します。

逆に栄養の取りすぎによる脂肪肝や脂質異常症では高くなります。

LD(LDH)

LD(乳酸脱水素酵素)は糖をエネルギーに変えるはたらきがある酵素です。LDHとも呼ばれます。

肝臓や心臓、血液、骨格筋などに多く含まれており、これらの臓器に異常があると高くなります。

T-Bil(総ビリルビン)/I-Bil(間接ビリルビン)/D-Bil(直接ビリルビン)

古くなった赤血球が壊されたときにできる成分をビリルビンといいます。ビリルビンは黄色い色素のため、からだの中のビリルビンが増えすぎると、肌や白目が黄色く見えるようになります(黄疸)。

ビリルビンは肝臓に運ばれて処理され、胆汁の中に排出されます。肝臓で処理される前のものを間接ビリルビン、肝臓で処理されたものを直接ビリルビン、間接ビリルビンと直接ビリルビンを合わせて総ビリルビンと呼びます。

肝臓の機能が低下すると間接ビリルビンを処理できなくなり、血液中に増えていきます。また溶血性貧血では赤血球が壊されてしまうことでビリルビンもたくさんつくられるため、肝臓での処理が間に合わず間接ビリルビンが高くなります。

一方で胆管が結石やがんなどによって詰まると、胆汁が流れなくなるため直接ビリルビンが排泄できず、血液中に増えていきます。

したがって、直接ビリルビンと間接ビリルビンの数値をみると、黄疸の原因がどこにあるのかが推察できます。

脂質検査 

T-CHO(総コレステロール)/HDL-CHO(HDL-コレステロール)/LDL-CHO(LDL-コレステロール)

コレステロールは血液中に含まれる脂肪分のひとつで、細胞やホルモンをつくる原料です。コレステロールにはLDL-コレステロールHDL-コレステロールがあり、2つを合わせたものが総コレステロールです。

LDL-コレステロールは、肝臓でつくられたコレステロールを全身に運ぶ働きがあります。しかし多すぎると動脈硬化を起こし、心筋梗塞や脳梗塞の原因となるため、悪玉コレステロールと呼ばれています。

一方HDL-コレステロールは余分なコレステロールを回収するため、善玉コレステロールと呼ばれます。

TG(中性脂肪)

TG(中性脂肪)も血液中に含まれる脂肪分のひとつです。「トリグリセリド」や「トリグリセライド」とも呼ばれます。

中性脂肪には体内にエネルギーを蓄える役割があります。からだを動かすためのエネルギーにはおもにグルコース(ブドウ糖)が使われますが、グルコースが不足したときは、蓄えられた中性脂肪が利用されます。

しかし中性脂肪は増えすぎると肝臓や皮下脂肪に蓄えられ、動脈硬化の原因になります。

腎機能検査

UA(尿酸)

尿酸は、細胞の中に含まれているプリン体という物質が肝臓で分解されてできます。プリン体はレバーやエビ、ビールなどの食べ物の中にも含まれているので、食事によってもからだに取り込まれます。

プリン体を多く含む食べ物のとりすぎや、尿酸を尿から排出するはたらきの低下により、数値が高くなります。

有名なのが痛風ですね。尿酸が増えすぎると、余分な尿酸は結晶になって関節などにたまっていき、炎症を起こします。これが激痛らしく、「風が吹くだけで痛い」から痛風と言うんだとか。

また余分な尿酸は腎臓でも結晶としてたまっていくことで、腎臓のはたらきが低下し、やがては腎不全になることもあります。

UN(BUN)(尿素窒素)

尿素窒素は、タンパク質がからだの中で分解されたときにできる老廃物です。BUNとも呼ばれます。

尿素窒素は腎臓から尿に排出されるため、腎臓のはたらきが低下すると、血液中の尿素窒素の数値は高くなります。

Cre(クレアチニン)

クレアチニンは筋肉を動かすエネルギーをつくったときにできる老廃物です。

クレアチニンも腎臓から尿に排出されるため、腎臓のはたらきが低下すると、血液中の数値は高くなります。尿素窒素とあわせて、腎臓のはたらきを知る指標になります。

eGFR(概算糸球体濾過量)

尿は、腎臓の糸球体(しきゅうたい)というところで、血液を濾過してつくられています。この糸球体で濾過される量を糸球体濾過量(GFR)と呼び、腎臓のはたらきを示す指標になっています。

ですがGFRを測定するには尿をためる必要があり、手間のかかる検査です。そのため採血で測定できるクレアチニンの数値と、性別や年齢からeGFR(推算糸球体濾過量)を計算し、GFRのかわりに腎臓の機能の指標としています。

膵機能検査 

AMY(アミラーゼ)

アミラーゼはでんぷんを分解する酵素で、膵臓や睡液腺から分泌されます。

膵臓や唾液腺がダメージを受けると、血液中に流れ込むため数値が高くなります。主に膵炎や膵臓がんなどの診断に用いられます。

リパーゼ

リパーゼは膵臓でつくられ、膵液中に分泌されて中性脂肪を分解する酵素です。膵臓の障害によって血液中に出てきます。

急性膵炎などによって上昇します。また膵臓がんでも検査値が変動します。

その他の検査

CK

CK(クレアチンキナーゼ)は筋肉に存在する酵素です。

筋肉の細胞がダメージを受けることで血液中に出てくるため、数値も高くなります。激しい運動でも高くなりますね。

CKには、からだを支えたり動かしたりする骨格筋由来のCK-MM型、血管や内臓に存在する筋肉である平滑筋由来のCK-BB型、心臓の筋肉由来のCK-MB型の3種類があります。

通常CKというとこの3種類を合わせた数値ですが、それぞれ個別に測定することで、どの臓器がダメージを受けているか調べることもできます。

CRP

CRP(C反応性タンパク)はからだに炎症が起きると増加します。

CRPだけではどの臓器に炎症が起きているのかわかりません。ですがCRPは炎症が起こるとすぐに増加し、炎症がおさまるとすぐ減少していくため、炎症が今どの程度なのかを把握するのに役立ちます。

電解質検査

Na(ナトリウム)/K(カリウム)/Cl(クロール)

Na、K、Clは電解質と呼ばれます。電解質は血液中に溶けているイオンのことで、からだの水分量を一定に保ったり、心臓や筋肉を動かしたりする役割を担っています。

電解質はからだの中で常に一定になるように調整されていますが、腎臓や心臓、神経などさまざまな臓器の異常によって、数値が高くなったり低くなったりします。

Ca(カルシウム)

からだの中のカルシウムのほとんどは骨や歯に含まれていますが、血液中にもわずかに含まれており、骨や歯をつくったり、筋肉を動かしたり、出血したときに血を固めたりするはたらきがあります。

副甲状腺ホルモンは、骨のカルシウムを血液中へ出したり、腎臓でカルシウムが排泄されるのを抑えたりしています。

そのため副甲状腺に腫瘍ができるなどしてホルモンが過剰に分泌されてしまうと、血液中のカルシウムは高くなります。逆に副甲状腺のはたらきが弱まると低くなります。

またビタミンDには、カルシウムの吸収を助けるはたらきがあります。ビタミンDが不足するとカルシウムが十分に吸収できず、血液中のカルシウムは低値になります。

すると血液中のカルシウムの量を保とうとして骨からカルシウムが出ていってしまうため、骨がスカスカになります。これが骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の原因です。

このほかに骨折やがんの骨への転移、多発性骨髄腫などの骨の病気でも高くなります。

IP(無機リン)

無機リンもからだの中ではほとんどが骨に存在しています。

血液中の無機リンは、多くが腎臓から尿へ排泄されます。そのため腎不全など腎臓のはたらきに障害があると、無機リンが尿へ排出できず高値になります。

副甲状腺ホルモンは、尿がつくられる際に無機リンがからだに再吸収されるのを抑えるため、尿へ排出される無機リンの量を増加させるはたらきがあります。

副甲状腺のはたらきが低下して副甲状腺ホルモンの分泌が減ると、尿から無機リンが 排泄されにくくなるため、血液中の無機リンは高値になります。

一方副甲状腺のはたらきが過剰になると、ホルモンが分泌されすぎてしまい、無機リンは低値になります。

Mg(マグネシウム)

マグネシウムには、筋肉の収縮や神経情報の伝達などのはたらきがあります。

血液中のマグネシウムは腎臓から尿へ排泄されます。嘔吐や下痢によってマグネシウムの排泄が増えると、血液中のマグネシウムは低値になります。

またお酒をたくさん飲む人は、下痢を起こしやすくなったり、血液中のアルコール濃度が高くなることで尿へ排泄されるマグネシウムの量が多くなったりするため、低値になります。

一方腎不全などでは、腎臓からのマグネシウムの排泄が低下するため、高値になります。

糖代謝検査

Glu(グルコース/血糖値)

血糖値は血液中のグルコースの濃度のことです。グルコースはブドウ糖とも呼ばれており、からだのエネルギー源になります。

食事に含まれる炭水化物は、からだの中で消化、吸収されてグルコースになり、血液中に入っていきます。

そのため血糖値は食事の前後で変動しますが、膵臓から分泌される血糖値を下げるインスリンや、血糖値を上げるグルカゴンなどのホルモンにより、血糖値は保たれています。

糖尿病の場合は、インスリンが十分に分泌されない、または分泌されても十分にはたらかかないため、血糖値が高い状態が続いてしまいます。

逆に血糖値が低くなりすぎてしまうと、ふるえや動悸などが起こり、重症の場合は脳へのエネルギーが足りなくなって、意識の低下や昏睡になることがあります。

HbA1c

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は、赤血球に含まれるヘモグロビンがどれくらいブドウ糖と結合しているかを割合(%)で示したものです。

血糖値が高いほど、ヘモグロビンと結合するブドウ糖の量が多くなるため、HbA1cも高くなります。

ヘモグロビンがブドウ糖と結合すると、赤血球の寿命(約120日)が尽きるまで、ずっと結合したままになります。そのためHbA1cは、今現在の血糖値ではなく、過去1〜2か月の血糖値の平均的な状態を表しています。

つまり採血の直前だけ食事に気をつけても、HbA1cを測れば普段の血糖値がバレるというわけですね。

貧血検査

Fe(鉄)/フェリチン/TIBC/UIBC

からだの中にあるFe(鉄)は主に赤血球の材料になり、酸素の運搬に役立っています。また残りの鉄はフェリチンというタンパク質と結合し、肝臓や脾臓に蓄えられています。

血液中では、鉄はトランスフェリンというタンパク質に結合して運ばれます。鉄と結合できる血液中のすべてのトランスフェリンの量をTIBC(総鉄結合能)、まだ鉄と結合していないトランスフェリンの量をUIBC(不飽和鉄結合能)と呼びます。

鉄欠乏性貧血では、名前のとおり鉄やフェリチンが不足するため赤血球がつくれなくなってしまいます。からだは足りない鉄を運ぼうとしてトランスフェリンを増やすため、TIBCやUIBCは高くなります。

心臓検査

BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)

BNPは心臓から分泌されるホルモンで、心臓へのストレスを和らげるはたらきがあります。そのためBNPが高くなるということは、心臓のストレスを和らげようとしている、つまり心臓に負担がかかっている状態を表しています。

BNPのかわりにNT-proBNPを測定している病院もあります。どちらも同じ心不全の指標です。

トロポニン(hs-Tnl/TnT)

トロポニンは筋肉を構成するタンパク質のひとつで、トロポニンT、トロポニンI、トロポニンCという種類があります。

特にトロポニンTとトロポニンIは、心臓の筋肉がダメージを受けると血液中に出てきます。そのため心筋梗塞をみつけるのに役立つ検査です。

トロポニンTとトロポニンIのどちらを検査しているかは、病院によって異なります。心筋梗塞を発症してすぐの患者さんはトロポニンI、発症して少し時間がたった患者さんはトロポニンTのほうがみつけやすいです。

感染症検査

HBs-Ag(HBs抗原)/HBs-Ab(HBs抗体)

B型肝炎を調べる検査です。

抗原とは、ウイルスを構成するタンパク質のことです。HBs抗原が陽性の場合、B型肝炎を引き起こすB型肝炎ウイルス(HBV)がからだの中にいる、つまり感染していることを示します。

一方抗体とは、ウイルスの抗原に結合してウイルスを攻撃するタンパク質のことです。HBs抗体が陽性の場合、過去にB型肝炎ウイルスに感染して免疫ができていることを示しています。またB型肝炎ワクチンを接種した人も陽性になります。

TP/RPR

梅毒トレポネーマという菌に感染することで起こる、梅毒という感染症を調べる検査です。

トレポネーマに対する抗体を測定するのがTP(TPHA/FTA-ABS)です。また梅毒に感染すると、からだの中でカルジオリピンという物質に対する抗体がつくられますが、これを測定するのがRPRです。

TPは梅毒にかかったことがあるか、RPRは梅毒が現在からだの中でどのくらい活動しているかを表します。

TPは一度梅毒に感染するとずっと陽性ですが、RPRの数値は感染によって上昇し、治療すると低下します。またTPは梅毒以外で陽性になることはほとんどありませんが、RPRは自己免疫疾患などでも陽性になることがあります。

このTPとRPRを組み合わせて、梅毒に感染しているか、治療の効果があったかなどを調べます。

梅毒の検査結果の見方については、こちらの記事もご覧ください。

凝固検査

PT/APTT

血液には出血すると血を固めて止血するはたらきがあり、これを凝固と言います。

凝固には外因系凝固因子と内因系凝固因子というものがはたらいており、PT(プロトロンビン時間)は外因系凝固因子、APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)は内因系凝固因子のはたらきを示します。

D-D(Dダイマー)

凝固のメカニズムでは、最終的にフィブリンという物質がつくられて、血を固め止血します。

止血が完了するとフィブリンは分解され、フィブリノゲン分解産物(FDP)ができます。さらにフィブリノゲン分解物が分解されると、最終的にDダイマーになります。

Dダイマーは肺塞栓症など、からだに血のかたまり(血栓)ができていないかを調べるのに使われます。数値が高いと血栓が疑われます。

甲状腺検査

FT3/FT4/TSH

甲状腺は首のところにある臓器です。FT3(フリーT3/遊離トリヨードサイロニン)やFT4(フリーT4/遊離サイロキシン)は甲状腺から分泌されるホルモンで、エネルギー代謝などにかかわっています。

TSH(甲状腺刺激ホルモン)は脳下垂体から分泌されるホルモンで、甲状腺を刺激して甲状腺ホルモンの分泌を増やすはたらきがあります。

バセドウ病など甲状腺機能亢進症では、甲状腺がはたらきすぎてしまうため、FT3、FT4は増加します。逆に橋本病などの甲状腺機能低下症では、甲状腺のはたらきが弱まってしまうため、FT3、FT4は減少します。

腫瘍マーカー

腫瘍マーカーは、がんができると血液中に増加する、そのがん特有の物質のことです。腫瘍マーカーの数値が高いとがんが疑われます。

また腫瘍マーカーにはいくつか種類があり、がんの種類によって増加する腫瘍マーカーも異なるため、どこにがんができているかを推測することもできます。


  • AFP、PIVKA-Ⅱ:肝臓がん
  • CA19-9:膵臓がん、胆道がん、胃がん、大腸がんなど
  • CEA:胃がん、大腸がん、膵臓がん、肺がん、乳がん、甲状腺がんなど
  • シフラ、Pro-GRP:肺がん
  • PSA:前立腺がん
  • CA125:卵巣がん、子宮体がん
  • CA15-3:乳がん

腫瘍マーカーの数値が高いからといって、それだけで必ずがんであると診断できるわけではありません。ですが腫瘍マーカーは採血で調べられるので、からだへの負担も少なく手軽な検査のため、がんをみつけるきっかけになります。

腫瘍マーカーでがんが疑われる場合は、CTや病理検査(臓器の一部をとってきて顕微鏡でがん細胞の有無を調べる)などの精密検査を行います。

おわりに

人間ドックや病院でよく検査される項目について、それぞれの検査項目が、どんな目的で調べられているのか、数値が高かったり低かったりするのは何を意味するのかをご紹介しました。

自分の検査結果を見返して、からだの調子を知ることに役立ててみてくださいね。

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